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2019.01.27

バセドウ病眼症への眼窩減圧術の前後の変化

バセドウ病眼症の眼球突出への減圧手術治療症例 30代女性のバセドウ病眼症の眼球突出に対して減圧手術を行いました。 その前後の顔写真をご本人のご了解を得て公開させていただきます。 手術前のお顔を見るとバセドウ病眼症によって上のまぶただけでなく、下のまぶたにもふくらみが出ています。 これはバセドウ病眼症によって眼窩脂肪が増生しているからです。 減圧手術で眼球後方の脂肪を切除すると、上のまぶたも下のまぶたもスッキリすることが分かります。 特に下の斜めからの写真の左眼(奥の方の眼)を見ると、 上のまぶたのふくらみがなくなり、スッキリしたまぶたになっているのがわかります。 2018年に我々は2院合わせて計360眼以上の眼窩減圧術を行いました。 これだけの数をさせていただいているので最近は手術の合併症も少しずつ少なくなっていると感じています。 手術にはリスクがつきものですが、顔つきが変化してしまって困っている方には手術をお勧めいたします。 下記に同意書の文面を記載させていただきます。 人生を取り戻しましょう!Restore your life!説明同意文書 眼窩減圧手術を受けられる患者さん、ご家族のみなさまへ この説明書は、眼窩減圧手術について説明したものです。わからないことがありましたら、担当医にお尋ねください。治療を受けられる場合は「同意書」に署名をお願いいたします。 1.あなたの病名と現在わかっていること、病態 眼球突出(甲状腺眼症) 甲状腺に関連した自己免疫疾患です。 甲状腺に関係した抗体が眼球の周りにある脂肪や眼球を動かす筋肉の中に存在し、それが標的となって炎症が起こり、増生します。それによりまぶたの腫れ、赤み、白眼の充血、角膜の傷、眼の奥の痛みや重さ、眼がでてきたり(眼球突出)まぶたが開いたり(眼瞼結膜の後退)し、瞬きが少なく目つきが鋭くきつくなるように見えます。筋肉、脂肪の炎症、腫れにより眼圧上昇や視力低下、2重にみえることもあります。バセドウ病の方の約50%~60%に甲状腺眼症が生じます。甲状腺機能亢進症でも低下症でも甲状腺機能が正常でもおこります。 筋肉や脂肪が増生し眼球突出が起こったり、神経が圧迫されて視力低下が起こったりします。症状は発症から半年程度経過すると固定化し自然には治りません。 2.この治療の目的・必要性・有効性 高度の視力低下や眼球突出に対して、眼の周囲の骨(眼窩)を削り、眼の奥の脂肪を切除することで肥大した筋肉や脂肪が入るスペースを拡大する手術です、 この治療をすることにより眼球を陥凹させ、眼球突出により鋭くきつくなった目つきを改善し、白めの充血、角膜の傷を改善させます。 どの程度効果があるかは患者さんの状態により個人差があります。 3.この治療の内容と性格および注意事項 全身麻酔で行います。 下まぶたや目頭などの結膜や、上眼瞼・下眼瞼の皮膚を切開し、目の奥の骨や脂肪組織を切除します。 術後1週間、軟膏を使用してもらいます。術翌日からシャワー浴・洗顔・洗髪は可能です。創部に汚れがたまると不潔になりますので、毎日軽く洗い流すようにしてください。ただしまだ癒着していませんので強くこすることはおやめください。3日後からは入浴が可能です。約1週間で創部の化粧は可能です。術後には顔貌が大きく変化する場合があります。また術後に腫れますので創部が醜く見える可能性がありますが、完全に腫れが消退し、完成した状態になるためには6か月が必要です。 手術後眼帯をし、その上から冷却が必要です。 当院ではチームとしての医療を行っており、厳格な基準を経た指導のもとに手術を行っていますが、通常の保険診療の場合には手術を担当する医師は指定することはできません。担当医を指名する場合には自由診療での手術になります。 4.この治療に伴う危険性とその発生率 手術により創部に内出血が起こります。内出血は最初赤いアザのようになっていますが、黄色く変色し重力に伴って皮下を下方に移動しながら約3週間で消退します。腫れの消退は最初の2週間でほぼ程度改善します。完全な消退には約半年かかります。創部に血腫ができた場合は除去手術が必要です。 手術後には眼球運動障害が出現し2重に見えます。翌日にはほとんど消失していることが多いですが、残存することもあります。 複視が残存した場合には、3から6か月で徐々に改善しますが、脂肪切除のみでは3%、外側壁では3-6%、内側壁では10-65%で複視が残存するとされています。その場合には、斜視手術が必要になることもあります。当院の脂肪減圧のデータでは正面複視は0%、斜視手術が必要になった方はいません。 意図的に眼球を陥凹させる手術ですので、まぶたが凹むなど、顔貌が変化します。目標を日本人の平均値15㎜に設定しますが、顔貌の変化に伴って二重のラインの形状や、下まぶたの腫れ方が変化します。人によってはバセドウ病発症前よりも凹んでしまったと感じることもあります。 術後、瞳が広がったり、近くが見づらくなったりすることがありますが、半年程度で徐々に改善します。 眼に関わる重要な神経やこれを栄養する血管に障害が起こると失明に至るような視力・視野障害が出ることがあります。発生率は1.2%です。 脳に近い場所の手術を行うため、感染症などをきたすと重篤な状態になる可能性があります。 手術を誘引として甲状腺クリーゼという死に至る病気が発症する可能性があると指摘されています。発症率は入院患者50万人に1人、致死率10%であり、500万人に1人です。 術後徐々に傷痕は目立たなくなりますが傷痕が目立ったり、ケロイドになったりすることがあります。術後に傷が離解した場合は再度縫合処置が必要です。感染などで眼窩蜂巣炎になることがあります。 5.偶発症発生時の対応 万が一,偶発症が起きた場合には最善の処置を行います。なお,その際の医療は通常の保険診療となります。 6.代替可能な治療 これに代わる治療はありません。 7.治療を行った場合に予想される経過 術後、さらに眼球陥凹を得たい場合に、今回の手術とほかの部位の減圧術を行うことがあります。眼瞼後退や眼瞼下垂、複視、斜視に対する手術など外科的治療が必要な場合があります。角膜びらんなどの症状がある場合は点眼の治療が必要です。 一度炎症が落ち着いた眼症も15%で再発します。その場合はステロイド治療などを必要とする場合があります。甲状腺の数値が安定している方やむしろ低下している方でも眼症は悪化することがあります。甲状腺の数値が安定しているからといって眼を放置するとひどく悪化することがあります。 喫煙や放射線ヨード内用療法が悪化につながるため、禁煙が絶対必要です。またストレス、寝不足が悪化を招きます。十分な睡眠を心掛けて下さい。 8.何も治療を行わなかった場合に予想される経過 自然には治りませんので、視力低下や結膜充血や残存します。顔貌の変化が気になっている場合には、うつ状態になってしまう方もいらっしゃいますし、きつい目つきに見られることで社会的不利になることなどが考えられます。 9.患者さんの具体的な希望 治療に関して何かご要望があればお伝えください 10.治療の同意を撤回する場合 いったん同意書を提出しても,治療が開始されるまでは,本治療を受けることをやめることができます。やめる場合にはその旨を下記まで連絡してください。 11.連絡先 本治療について質問がある場合や,治療を受けた後緊急の事態が発生した場合には,下記まで連絡してください。 【連絡先】 住所:前橋市古市町180-1 病院:新前橋かしま眼科形成外科クリニック 電話:027-288-0224、080-3401-9510 同意書文面 甲状腺眼症への減圧術の手術を受けられる患者さん、ご家族のみなさまへ この説明書は、甲状腺眼症への眼窩減圧の手術について説明したものです。 わからないことがありましたら、担当医にお尋ねください。 治療を受けられる場合は、下記に「同意書PDF」を用意しておりますので、一度目を通していただき署名をお願いいたします。 同意書文面(PDF)

2019.01.27

医療を飲食店に例えると

タイトルをみて、クエスチョンマークが浮かんだ人も多いと思います。 どの医療機関にかかるときも患者さんは不安です。 それは自分自身がどこかに受診するときを考えるとわかります。 歯科でも内科でも耳鼻科でも、その医療機関の診断レベルはどうなのか、治療の技術レベルはどうなのか、必死で感じ取ろうとしている自分がいます。 やはり自分の身体を任せるとなると、出来るだけ完璧なチョイスをしたいと思いますよね。 それは当然です。 特に米国やシンガポール、台湾など他国の眼形成外科を見学しているので 眼形成についていえば、日本国内の状況がとても追いついていないと感じるからというのもあります。 他の記事でも書きましたが、飲食店に行くのが好きなので よく飲食店に例えて話をするのですが、 どんな食べ物が好きですか?という質問に「ステーキが好きです」と言ってみたところで ステーキならどんなのでも良いわけでは無いですよね? そもそもシチュー用の硬い肉を厚切りにして焼いたって、「ステーキです」って言いきれば それはステーキなのかもしれませんからね。家庭のステーキだと中までウェルダンにしてしまうことはよくあります。 眼形成、専門にしている看板があれば良いわけではありません。 それは「がん」でも「眼瞼」でも「美容」でも一緒です。 例えばラーメン屋の味もピンキリですが、医師の技量も同じくらい幅があるのです。 これは意外と皆さんご存知ないし、意識していないと思います。 自分の身体を任せられるドクターを見つけてもらえたらと思います。 2018年手術実績 3046件(うち眼瞼下垂1238件 ) 群馬大学 眼科 非常勤講師 涙道涙液学会 理事 オキュロフェイシャルクリニック東京 中央区銀座1丁目ビル8F 03-5579-9995 http://www.oc-tokyo.com/ バセドウ病眼症に悩んでいる方はどうぞ 「1時間で分かる 甲状腺眼症入門パンフレット」 https://oculofacial.page.link/pamphlet kindle版 https://www.amazon.co.jp/dp/B07MS9HNSH/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_NJ8pCbV9B21VS

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