群馬県前橋市の眼科形成外科 かしま眼科形成外科クリニック 眼科(眼形成眼窩外科)・形成外科

かしま眼科形成外科クリニック

完全予約制のクリニックとなります。
ご予約についてはお電話にて承ります。

診療内容

眼窩骨折

眼を含む骨に囲まれたスペースを眼窩といい眼窩のまわりの骨を眼窩骨といいます。
下は上顎洞、内側は篩骨洞というスカスカの空間になっているのです。

眼窩内壁のスケールモデル

内壁はほぼ平面状に存在している。
内壁の奥のスペースは篩骨洞がある。

眼窩下壁のスケールモデル

眼窩下壁中央に大きな亀裂(下眼窩裂)が見える。
下壁の奥のスペースには上顎洞がある。

眼を強打すると衝撃を吸収する過程でこれらの骨が折れるようになっています。
それと同時に眼窩の組織(脂肪や筋肉)がそれらのスペースに飛び出すので、これが眼窩骨折と言われる状態です。
折れる場所によって、眼窩下壁骨折、眼窩内壁骨折、はたまた眼窩内下壁骨折と言われています。

眼窩骨の外側は骨が分厚くて硬くなっています。
また上は脳みそになっていて硬膜という硬い組織で裏打ちされています。
このため眼窩外壁や上壁の骨折はなかなか起こりません。

右眼窩内壁骨折(冠状断CT)

内壁はほぼ平面状に存在している。
内壁の奥のスペースは篩骨洞がある。

右眼窩下壁骨折(冠状断CT)

眼窩下神経管周囲がヒンジとなっている。
折れた骨は上顎洞内に偏位している。

右眼窩骨折(水平断のCT)

眼窩内壁の骨折があり、篩骨洞がつぶれている。
眼窩脂肪が偏位・嵌頓し、それに伴って視神経の弯曲も見られる。

眼窩骨折が起こって眼窩組織がスペースに飛び出すと必然的に眼窩全体がそちらに引っ張られて、
目が凹んだり、筋肉が引っ張られることでダブって見えたりするような症状が出ます。

左の眼窩内下壁骨折の顔写真

治療はもちろんケガの前の状態にするのが一番良いので、飛び出てしまった眼窩組織を元の位置に戻して眼窩骨を再建する、ということになります。
この症例は他院で手術を受けたがOrbital strutが再建されなかったため、術後にも関わらず眼球陥凹を来している。

当院では眼窩組織側から引き上げて骨折を治しています。
それは上から引き上げたほうがしっかりより正確に戻すことが出来るからです。
引き上げる手術を行うとして、眼窩組織へのアプローチには二つあります。
皮膚の切開でのアプローチと、結膜(白目)の切開からのアプローチです。

当院ではすべての眼窩骨折の手術を結膜から行っています。
結膜は非常に薄い膜で、
傷が綺麗に治りやすいこととそもそもまぶたの裏にあるため切開創は表面に出ないのです。

スペースに飛び出た眼窩脂肪や筋肉に辿り着いたら、それらを引き上げます。
しっかりと脂肪や筋肉といった眼窩組織と、骨や粘膜の間をはがし、眼窩組織だけを元の位置に戻します。
最後のステップとして、
眼窩組織はそのままにしておくと元のスペースに落ちてしまいますから骨の壁を再建して終了します。
結膜アプローチの場合には、無縫合か、もしくは1-2針程度、吸収糸で縫合しますので抜糸は必要ありません。
これらとは別に、緊急の手術を要する場合があります。
閉鎖型骨折と言われる状態であり、眼窩骨が亀裂状に折れて、さらにそこに筋肉や脂肪が挟まると、
血液が届かなくなって組織が死んでしまうのです。
ゴールデンタイムは24時間と言われていますので準緊急での手術が必要です。

眼窩下壁骨折(閉鎖型)の冠状断CT

眼窩下壁の破綻とともに、眼窩内から下直筋が消失し、「missing rectus」と言われる状態である。
閉鎖型骨折で外眼筋が巻き込まれた場合には準緊急手術の適応となる。
時間が経過すると筋肉が壊死をきたし、
複視が生涯にわたって残ることになる。

外部ホームページで詳しく見る
(Dr.鹿嶋ホームページ)

>> 眼窩骨折の治療について

症例一覧

約20歳女性 交通事故 右眼窩骨折

自動車のハンドルに右目をぶつけ、眼窩骨折と眼瞼下垂を発症しました。
その後A総合病院の眼科と形成外科でケガが安定化し改善するのを待っていました。
受傷後1年以上経過し、眼球陥凹と眼瞼下垂がこれ以上改善しないため、当院にご紹介いただきました。
右眼の眼球陥凹は重度で、上眼瞼の影の形状が左右で大きく異なることが分かります。
この方は内壁と下壁の骨折であり、その接合部(Orbital strutという)が折れていました。
接合部が折れるのは、眼球運動障害よりも、眼球陥凹が強く出るタイプ。

この方も非常に強い眼球陥凹が残っていました。
またケガによる眼瞼下垂がありますが、こちらも手術が必要になるため手術は二回に分けて行う必要がありました。

一回目の手術は、眼窩内下壁骨折の手術で、日帰り全身麻酔で行いました。
二回目の手術は、右上眼瞼の眼瞼下垂手術で、局所麻酔で行っています。

手術を行って眼球陥凹が改善し、左右差が目立たなくなっているのが分かると思います。
とくに上眼瞼の影の形が変わっていることに注目してください。

また、眼瞼下垂手術によって二重の幅が小さくなっているために左とのバランスが取れてきているのが分かります。

  1. 術前

  2. 術後

約20歳女性 転落事故 左眼窩骨折

自宅マンション5階から転落、顔面多発骨折にてB大学病院形成外科で整復手術。
半年後に眼窩骨折整復術と下眼瞼の陥凹に対して脂肪移植を施行しています。
左眼球陥凹が治らず浜松のC病院、群馬県のD病院を受診するが手術を断られ、
最終的にD病院から当院へ紹介受診となりました。

  1. 上眼瞼の陥凹と
    眼球の内方偏位が目立つ

  2. 術後にはほぼ消失

    脂肪移植されているので
    逆に膨らみが目立ってしまっている

  3. 右眼に比べると
    眼球陥凹が分かりやすい

    術前

  4. 術後に眼球陥凹は改善
    右眼とほぼ同位置になった

    術後

B大学病院で2回手術をされていますが、左眼の重度の眼球陥凹が残存しており、左右非対称の顔貌となってしまっています。
また下眼瞼へなぜか脂肪移植されているためこれも左右差を助長する原因となっています。
CTでは再建手術を2回されているものの、骨壁を治すことが出来ていないため、眼窩の断面積が縮小していません。
これが眼球陥凹の大きな原因でした。手術は結膜切開から行ったため、皮膚に傷は残っていません。
人工骨で足場を作り、その上にプレートが乗せました。
術後のCTを見ると眼窩の断面積が正常である右に近づいているのが分かります。

  1. 前医で2回の手術されているが
    眼窩内壁と下壁の整復は不十分

    初診時CT 冠状断

  2. 人工骨を足場にしてその上にプレートを
    置き眼窩内壁と下壁の位置を
    右眼に近づけている

    当院術後 冠状断

約40歳女性 転落事故 右眼窩骨折

転落にて受傷。
E大学病院形成外科で手術を行ったものの右の重度の眼球陥凹が残存しました。
これ以上の治療は出来ず、F大学病院へ転院となり、F大学病院から紹介受診となりました。
当初、ヒアルロン酸注射などの手術以外の手段での治療希望だったのですが、眼窩骨が偏位していることが原因であること、
それを治すには手術が望ましいことをお伝えしたところ手術希望となりました。

  1. 上眼瞼の陥凹が目立つ

  2. 上眼瞼の陥凹は改善

  3. 左に比べると右眼球陥凹が目立つ

    術前

  4. 上眼瞼陥凹は改善左右差はほぼ無くなった

    術後

膜切開から眼窩内に進入し症例2と同様、眼窩内壁と下壁を再建しています。
術前には、重度の右上眼瞼陥凹があるが、術後には改善しています。
眼球の位置を眉毛と比較すると、右眼球陥凹がよくわかると思います。

  1. 内壁と下壁の骨折があるメッシュプレートが
    使用されているが骨に沿った挿入であり、意味をなしていない

    初診時CT 冠状断

  2. 人工骨で橋げたを作り、その上にプレートを乗せて眼窩の形を整えている。
    眼窩の断面積の差が小さくなっている。

    当院術後 冠状断

CTを見ると、眼窩にチタンメッシュプレートが挿入されているが骨に沿って挿入されているだけなので、
眼窩組織を持ち上げるような効果は無いことが分かります。
ハイドロキシアパタイトの人工骨を重ねて橋げたのようにして、
その上にプレートを置くことで眼窩の形状を小さくすることが出来ました。
このように他院手術後であったとしても改善させることは可能かもしれません。
眼球陥凹の後遺症に悩まれている方がいらっしゃったら、是非一度ご相談ください。